印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。

2014年4月11日金曜日

予想以上に刺激的なIPEX2014

2014324日〜29日の6日間、4大国際印刷機材展のひとつIPEX2014がロンドンで開催されました。今回は約400社の出展があり、コニカミノルタや富士フイルムなどのブースで意欲的な展示が見られたものの、ハイデルベルグやKBA、マンローランド、HP、コダック、キヤノン、リコー、ミヤコシといった主要な印刷機材メーカーが出展を取り止めるなど、これまでの印刷機材展とはずいぶん違った顔ぶれでの展示会となりました。

ただ、主要な印刷機材メーカーの不在によって、用紙に色や文字を印刷する以外にも印刷会社が利益を大きく伸ばせる機会はいろいろあることが、逆説的に見えてきたのがとても印象的でした。また、その機会を実現するための機材やサービスとして、以下のようなものも見えてきました:
  • 商業印刷向けバリアブル後加工機
  • 「攻め」のためのMIS
  • 産業用インクジェット技術の商業印刷への転用
  • 印刷物を使ったコミュニケーションの価値を最大化するビスポーク・サービス
  • Web上でも「おもてなし」、など

また、昨秋シカゴで開催された
PRINT13の取材結果と比較して、以下のような米国と英国の印刷会社の違いが見えてきたもの印象的でした:
  • 米国:印刷物・印刷サービスの「新しさ」を訴求する。
  • 英国:印刷物・印刷サービスが「顧客にとってどんな意味や価値を持つか」を訴求する。

実は、英国の印刷市場は結構元気です。英国の人口は日本の半分以下(約
6,800万人)ですが、印刷市場は161億ポンド(約25千億円)と日本の6割程度の規模となっています。また、印刷業界団体BPIF (British Printing Industry Federation)のアンケート結果によれば、印刷会社の55%が「事業は拡大している」と考えています。

この背景には、英国の印刷会社が提供している印刷物・印刷物の「顧客にとっての意味や価値」を真剣に考え、訴求していることがあると思われます。実際、IPEX会場や工場見学をさせていただいた印刷会社さんでお話しをお伺いしていると「英国の印刷会社さんって、ものすごく考えている」ことを強く感じました。

IPEX2014は、国際機材展に「最新の印刷機」を期待される方には物足りないものだったかもしれません。しかし、日本の厳しい市場環境を抜け出す逆襲の機会を虎視眈々と探している印刷会社の方々には、とても刺激的で参考になる展示会だったと思います。

IPEXの内容について何かご質問などございましたら、お気軽にお問い合わせください (^ ^) 面白いサンプルもお見せします♪よろしければ、今回宿泊した標準時で有名なグリニッジの写真もお見せいたします(笑)