印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。

2017年2月20日月曜日

ロックな印刷物:"Love Festival Poster" @ UFO Club

ロンドンで1967年の夏に花開いた "Summer of Love" は、まだ寒い頃から着々とエネルギーを蓄えていました。その苗床のひとつがUFOクラブです。

UFOは1966年12月に開店し1967年10月に閉店した短命のクラブですが、デビュー前のピンク・フロイドソフト・マシーンがライブ&ライトショーを行ったり、ロンドン滞在中のジミ・ヘンドリックスが演奏したという伝説があったりするスゴイところです。

UFOクラブはイベント告知用ポスターのデザインの良さでも群を抜いていて、この "Love Festival" のポスターはその代表的なもののひとつです。2017年2月10日と17日に行われたイベント告知用ポスターで、白地にシルクスクリーンでピンクと赤のインクで印刷された技術的にはシンプルなものです。

しかし、30インチ x 40インチ(約 75cm x 100cm)というサイズと、とてもポップなデザインで、寒くて暗い冬のロンドンの街を華やかに彩ったことは想像に難くありません。こんなポスターが貼られた街角を実際に歩いてみたかったです。もちろん、デビュー前のソフト・マシーンのライブも目の前で楽しみつつ (^ ^)

ところで、ピンク・フロイドのライトショーといえば、2014年にUFOクラブでのショーを再現したイベントがロンドンで開催されました。また、ピンク・フロイド展 @ ヴィクトリア&アルバート博物館(2017年5月13日〜2017年10月1日)でも、カスタムデザインされたレーザーライトショーが行われるようです。

デヴィッド・ボウイ大回顧展も日本に来ましたので、このピンク・フロイド展も同じように日本でも開催されることを期待しましょう!もちろん、その前にロンドンで見る機会があったら見逃さないようにしましょう♪

2017年2月9日木曜日

page2017レビュー(速報板)

2月8日〜10日、サンシャインシティ@東京・池袋で印刷メディアビジネスの総合イベント page2017が開催されています。私も初日(2月8日)に取材をしました。今回は速報版として、page2017のトレンドや見どころのポイントをご紹介します:

  • 注目のトレンド:
    • 生産の各工程(制作・工務・印刷・加工)のさらなる統合化:
      • 生産工程のさらなる自動化・省力化・スキルレス化の進展
      • 生産工程のさらなる柔軟性やきめ細かさの向上
      • 生産キャパシティのさらなる増加
    • 表現力のさらなる向上:
      • 表現でもWebと印刷の連携性向上
      • 印刷でも加工でも加飾
  • 注目の機材:
    • 後加工機
    • 検査機
    • ワークフロー
  • 独断と偏見(笑)での注目の展示:

それほど広い会場スペースではないのですが、じっくりお話をお伺いしながらの取材でしたので、まだ回れていないブースも多々あります・・・引き続き会場で取材して、また注目の展示などを見つけたらお伝えします。皆さんも、「これが面白い!」といった展示がありましたらぜひ教えてください。この記事が、2日目・3日目に会場に行かれる方々のご参考になれば幸いです (^ ^)

2017年2月7日火曜日

2021年以降の国際印刷機材展はどうなるの?

2020年までの動向は見えてきつつあるものの、2021年以降は不透明。これは、国内印刷市場ではなく、国際印刷機材展のお話です。4大国際印刷機材展は、ここしばらく以下のような周期で開催されていました:

  • 夏季オリンピック・パラリンピックイヤーにdrupa@ドイツ
  • その翌年に PRINT@米国
  • その翌年に IPEX@英国
  • その翌年に IGAS@日本

国際印刷機材展は、毎年異なる国で、各国/各地域やそのタイミングでの市場状況を反映した内容で開催されていました。確かに、印刷機などのハードウェアについては各機材展でそれほど違いはありませんでした。しかし、紹介されているソリューションやセミナーはそれぞれ独自性があって、私はそれぞれの機材展を視察するのを楽しみにしています。

しかし、今年(2017年)以降は少し様子が違います。IPEXとIGASが以下のように開催時期を早めたのです:

  • drupa2016@ドイツ・デュッセルドルフ(2016年5月31日〜6月10日)
  • PRINT17@米国・シカゴ(2017年9月10日〜14日)
  • IPEX2017@英国・バーミンガム(2017年10月31日〜11月3日)
  • IGAS2018@東京ビッグサイト(2018年7月26日〜31日)
  • drupa2020@ドイツ・デュッセルドルフ(2020年6月23日〜7月3日)

IPEXとIGASが時期を変更した背景には、drupaが「これからは開催周期を3年に変更し、次回は2019年に開催」と2015年2月に発表したことがあります。これを受けて、「IGASも3年周期に変更する」こと、あわせてJGASの開催をやめることが2015年3月に発表されました。また、2016年3月にIPEXが2017年の開催に関するリリースを出しました。

しかし、drupa2016期間中に「drupaはやはり4年周期で開催し、次回は2020年」との再度変更の発表がありました。IPEXは開催時期を再度変更する時間はなく、IGASも東京オリンピック・パラリンピックとの兼ね合いで、やはり変更は難しい状況です。その結果、2017年に2つの国際印刷機材展が開催される一方、2019年には1つも開催されないというスケジュールになりました。

では、2021年以降はどうなるのでしょう?2016年以前の周期に戻るのでしょうか。定期的・継続的に市場動向をウォッチし、またさまざまな市場の特徴を比較することを楽しみにしている私にとっては、それが望ましいです。しかし、印刷市場を巡る環境の変化は早く、国際印刷機材展の入場者数は減少傾向にあります。2021年以降は、これまでの延長線上で考えるのは難しいかもしれません。

皆さんは、2021年以降の国際印刷機材展はどうなるとお考えでしょうか?そもそも、印刷市場はどうなるでしょう。まだ少し先のことですが、頭の体操がてらいろいろ想像することをオススメします。きっと面白いことが見えてくると思います (^ ^)


2017年2月3日金曜日

ロックな印刷物:IT (International Times) #6, Paul McCartney Cover

今から50年前の1967年、4人のビートル(ビートルズのメンバー)のうち一番アバンギャルドだったのはポール・マッカートニーでした。他の3人がロンドン近郊に居を構えて世間と少し距離を置いている中、ポールはロンドンのど真ん中、アビーロードスタジオ近くに住み、アンダーグラウンドシーンの重要人物達と積極的に交流を深めていました。

その成果のひとつが、こちらの IT (International Times) 第6号(1967年1月発行)です。ITは1966年に創刊されたロンドンの(主にアンダーグラウンドの)イベントを紹介していた新聞です。ロンドンのぴあみたいなもので、Time Out よりも前に創刊されています。

ポールはITの発行者とも懇意にしていたのですが、ある日その人から「お金が無いんだけどどうしたら良いと思う?」と相談されました。まだITは創刊されたばかりで、印刷も編集部の片隅で編集者やデザイナーが自分たちで行っているような頃でした。

「僕のインタビュー記事を載せたらどう?そうすれば、レコード会社から広告も取れるようになるから」。こう答えたポールのインタビュー記事が掲載されたのがこの号でした。その後、1967年6月にビートルズが「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」を発売した時には、IT 14号にこのアルバムの全面広告が出ました。また、このアルバムの発売元 EMI は、その後ピンク・フロイドのデビューアルバム「夜明けの口笛吹き」の広告などもITに出稿しています。

このインタビューの数ヶ月前、ビートルズは武道館で伝説的なコンサートを開いています。そんなスーパースターが創刊したばかりのアングラ新聞/雑誌の広告を取るお手伝いをするなんて、ほとんど例がないと思います。少なくとも、日本では聞いたことがありません。でも、そんな奇跡のようなことが、当時のロンドンでは起こっていました。

スウィンギングロンドン時代の印刷物に魅力的なものが多いのは、こうしたステキな人間関係が背景にあったからかもしれませんね (^ ^)