印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。

2012年10月31日水曜日

スマホベースの O2O 最新動向 . . .(2): Online to Offline

前回に引き続き、Web & モバイル マーケティング EXPOにおけるO2Oのソリューションをご紹介します。今回は、Online to Offline のソリューションです。

今回の会場では、博報堂アイ・スタジオが Yahoo! JAPANとの共同事業「Yahoo! JAPAN年賀状」を紹介していました。これは、住所が分からなくてもフェイスブックの友達やツイッターのアカウント、メールアドレスが分かっている友人・知人に紙の年賀状が送れるというサービスになります。展示会には出展されていなかったのですが、同様のサービスには日本郵便と電通の合弁会社JPメディアダイレクトが提供するサービス ポストマンなどもあります。

「住所が分からなくても送れる」というサービスは年賀状シーズンになるとよく目にするのですが、実は、通常のプロモーションにも使えるのではないかと、私は考えています。例えば、Facebookの企業ページに「いいね!」を押してくださった方だけに特別なデザインと内容のDMや販促品をお送りするとか。これは、ファンを集めることに加えて、ファンを維持することにもつながると思います。

フェイスブックなどSNSを活用したマーケティング(拙訳書「未来を破壊する」でいうところのインバウンドマーケティング)は、これから益々重要になります。こうしたOnline2Offlineのサービスを追加することで、インバウンドマーケティングの効果は更に高まると考えられます。また、この場合はDMや販促品など「リアル」なものを送付するため、印刷業界にとっても魅力的なソリューションになります。

ただ、現時点ではこうしたOnline2Offlineのソリューションは、企業のプロモーション活動にはあまり活用されていません。その理由は、企業側がこうしたプロモーションの可能性を十分に理解していないからだと思われます。つまり、こうしたソリューションを提案することで、印刷会社は顧客企業のインバウンドマーケティングの効果を高めることに貢献できます。

もちろん、「いいね!」を押してくださったファンの方に送付するDMや販促品、あるいは販促品のパッケージにARを追加して、再び企業のサイトなどに誘導することも可能です。その際、誘導した先でお送りしたDMや販促品に関するご意見・ご感想を書き込んでいただき、それを広くシェアしてさらにファンを増やすといった仕組みも面白いかと思います。

販促品をトリガーにして、リアル(Offline)とWeb(Online)両方のチャネルを通じてファンとのコミュニケーションを深めることができる印刷サービスは、顧客企業にとって非常に魅力的だと思いますがいかがしょう?もし、こうした印刷サービスの立ち上げ・拡大をご検討される際には、是非お声がけください (^ ^) 


2012年10月29日月曜日

スマホベースの O2O 最新動向 . . .(1):Offline to Online

先週(2012年10月24日〜26日)幕張メッセで開催された「Web & モバイル マーケティング EXPO」では、想像していた以上にスマートフォンを活用した O2O (Offline to Online/ Online to Offline)のソリューションが数多く展示されていました。今回はそのうち、Offline2Online のソリューションについてご紹介します。

会場に展示されていたスマホベースの Offline2Online型のO2Oソリューションは、以下の様なタイプに分類されます:
  1. AR専用コンテンツ再生タイプ:
    • 3Dや動画の再生型
  2. AR専用コンテンツ再生タイプの変形:
    • インタラクティブ型(ARコンテンツの操作が可能)
    • 道案内型(GPSと連動)
    • オリエンテーリング型(ポイント収集型)
  3. Webコンテンツをブラウズするタイプ(QRコードの変形型)
「2. AR専用コンテンツ再生タイプの変形」のインタラクティブ型で面白かったのは、カナダから出展していた Redpiston社 の冷蔵庫をブラウズするデモでした。新聞に掲載された広告がARのマーカーで、そこにAR用アプリを起動したスマートフォンをかざすとスマホの画面に冷蔵庫が現れます。スマホの角度を変えると冷蔵庫を様々な角度から見ることができ、さらに冷蔵庫の引き出しや扉部分をタップするとスムーズに開閉したりします。こうしたARとVR(バーチャル・リアリティ、仮想現実)が組み合わせられたサービスがスマホ上でスムーズに実現できることに、少々驚きを感じました。

「3. Webコンテンツをブラウズするタイプ」では、米国ロサンゼルスに拠点を置くハイテク企業群 Nant Works の日本法人ナント・モバイルの展示が興味深いものでした。例えば、渋谷駅の改札口付近に貼ってある駅周辺地図にARアプリを起動したスマホをかざすと、情報を入手できるファッションビルなどが分かります(対応していることを示すマークが表示されます)。その部分をタップすると、そのファッションビルのWebサイトに飛び、最新情報を得ることができます。また、ファッションビルなどの建物もマーカーにすることができるため、スマホをかざして歩きながら各ビルの最新情報も入手できます。

ARを使ったサービスでは、ブラウズするコンテンツが話題になることが多いかと思います。しかし、ナント・モバイルでは、ブラウズするのは既存のWebコンテンツなのですが、O2Oの可能性の大きさを示す様々な使い方(実現時期が未定のコンセプト的な使い方を含めて)を提案していた点が印象的でした。

「Webコンテンツをブラウズするタイプ」では、コトブキ企画が11月に開始する予定のスピードウェブも面白いサービスだと思いました。一般的に、ARではマーカーとブラウズする内容が「1対1」の関係なのですが、スピードウェブでは1つのマーカーに対して複数(10個程度)のWebサイトやWebコンテンツを対応させられるようになっています。しかも、運用者が自分で簡単にマーカーやそれに対応するWebサイト・Webコンテンツを登録したり変更したりできるようになっています。こうした手軽さは、O2Oが広まるに当たって有効かと思われます。

ARを含めたスマホベースのO2Oは、IT業界が牽引することで、印刷業界が考えているよりも速いスピードで広まる可能性もありそうです。Redpistonナント・モバイルの展示を見ていると、O2O(特にOffline to Online)の分野では海外のIT企業の動向にも注目すると面白い印刷サービスのアイデアが得られそうです。実際、私もこれらの展示を見て面白い新規サービスをいくつか思い付きました (^ ^)

次回は、Online2Offline型のO2Oソリューションを紹介する予定です。お楽しみに♪


2012年10月24日水曜日

ノベルティにおける「小ロット対応」「カスタマイズ/パーソナライズ対応」の進展

先週(2012年10月17日〜19日)、東京・池袋サンシャインシティ文化会館において第46回インターナショナル プレミアム・インセンティブショーが開催されました。会場では様々なノベルティが提案されていましたが、ここでも「小ロット対応」「カスタマイズ/パーソナライズ対応」の進展が主要なトピックのひとつでした。

例えば、カンロブースで紹介されていたオリジナルプリントキャンディ「プリキャン」は、「100粒の小ロットから!」キャンディの個包装をオリジナルデザインにするサービスです。プリキャンは1年ほど前にスタートし、企業はもちろん、個人でも結婚式で配るためなどに注文される方などがいらっしゃるそうです。

クレハブースでは、クレラップの箱の6面中5面をオリジナルのデザインにできるサービスが紹介されていました。そのサンプルとしては、JAバンクや大和証券・大和ネクスト銀行といった金融機関のものが多く目につきましたが、ミサワホームなどのものも展示されていました。このサービスは「最低ロットが10,020個」ということなので、こうした大手企業が中心となっているようです。

大洞印刷(岐阜・本巣市)のブースでは、1枚単位でクリアファイルを印刷するサービスが紹介されていました。この展示で興味深かったのは、印刷は1枚からできるのですが「注文はセットで」という提案されていたところです。ブースには、野球チーム向けの「20枚で1セット」という例が紹介されていました。これは、各メンバーの打席シーンやチーム全員での写真を使って「20枚のクリアファイルで1セット」を作るというものでした。また、「47都道府県で各1枚づつ」というセットも提案されていました。

フォトブックのように、パーソナライズされた商品の注文点数は1点あるいは数点程度になることが多いと思われますが、これでは注文単価が限られてしまいます。しかし、「セット販売」にすることで注文単価を高めることができます。パーソナライズの取組みの際には、こうしたマーケティング上の工夫も求められることが分かります。

ところで、こうしたカスタマイやパーソナライズの進展に伴って、印刷工程や機材が見直されているのも印象的でした。カンロブースのご担当者によれば、プリキャンのサービスを実現するに当たって印刷工程を非常に工夫されたそうです。また、クレラップの箱は通常グラビアで印刷されているのですが、オリジナルデザインのものについてはオフセット印刷で対応されています。大洞印刷でも、昨年末に導入したデジタル印刷機を活用することで、パーソナライズしたクリアファイルを実現しています。

ノベルティにおける小ロット対応やカスタマイズ/パーソナライズの対応の進展は、印刷業界にとって新たな事業機会です。しかし、この事業機会を実現するには、マーケティング上の工夫や印刷工程・機材の見直しなど、これまでとは異なる取組み = 「未来を破壊する」取組みを積極的に進めることが求められます。是非、「小ロット」「カスタマイズ/パーソナライズ」といったニーズの取り込みを通じて、「未来を破壊」していただければと思います。



2012年10月11日木曜日

TOKYO PACK レビュー(3):紙器パッケージの動向

今年5月に開催された drupa 2012 では数多くのB2デジタル印刷機が発表されましたが、その多くが「紙器パッケージ印刷市場」をターゲットにしています。今回の TOKYO PACK において、国内紙器パッケージ印刷市場におけるB2デジタル印刷機のビジネス機会を探ることも取材目的のひとつでした。

会場では、様々な方にデジタル印刷機の紙器パッケージ印刷分野での活用状況についてお伺いしたのですが、国内では「広幅インクジェット機でサンプルを制作している」という使われ方が中心で、プロダクション機を使って本格的に生産しているという例を聞くことはできませんでした。

ただ、この分野におけるデジタル印刷機導入・活用の可能性について指摘される方は少なくありませんでした。例えば、ラベル印刷でもご紹介した「生産者直売」「個人・小規模企業による輸入したもののネット販売」といった小ロットニーズに対応するため「検討している」というご意見がありました。既存市場の置き換えというよりも、新たな発注者の登場が紙器パッケージ印刷市場におけるデジタル印刷機導入・活用を牽引するのかもしれません。

ところで、今回の TOKYO PACK では、紙器パッケージの存在感はそれほど大きく感じませんでした。その背景としては、以下の様なものが挙げられると思います:
  • 簡易包装の広まり:
    • 環境負荷低減のため、また経費削減のため
    • 併せて、ラベルの表現力も向上している。
  • ダンボールを使ったパッケージの表現力拡大:
こうした状況の中、紙器パッケージは以下の様な「高機能化」の取組みの中で紹介されたケースが目に付きました:
  • バリアフリーを実現するユニバーサルデザイン(UD)への取組み
  • 内容物の利用にあわせて箱の大きさを小さくできる、サイズの可変性への取組み
  • 薬品などの偽造防止への取組み、など
「高機能化」はデジタル印刷のみが実現できるものではありませんが、先に挙げた「新しい発注者の小ロットニーズ」を取り込むためには有効な要素かもしれません。つまり、新しい発注者に対して設計・デザインの段階でこうした機能性を付加する提案をすることが、デジタル印刷の紙器パッケージ分野での拡大に貢献する可能性はありそうです。ただ、まずは「小ロットニーズ」の掘り起こしが必要かと思われます。

もちろん、紙器パッケージデザインのパーソナライズというデジタル印刷ならではのアプリケーションを提供することも、大きな事業機会になると考えられます。会場におけるHP社によるプレゼンテーションの中にも、ティッシュの箱をパーソナライズするという事例がありました。

紙器パッケージの分野でデジタル印刷が存在感を高めるためには、新しい発注者による小ロットニーズやパーソナライズニーズの取り込みという新しい市場の開拓が必要になりそうです。そのビジネスの形は、『B2 SoHoなど小規模企業』型(小ロットニーズ向け)あるいは『B2B2C』型(パーソナライズニーズ向け)が中心になると思います。

印刷会社にとってそうした市場の開拓は少々タフな取組みになるかも知れませんが、その市場は非常に大きくとても魅力的だと考えます。是非、挑戦してみてください!もし、お手伝いが必要な場合には、お気軽にお声がけください (^ ^)




2012年10月9日火曜日

TOKYO PACK レビュー(2):デジタル印刷の観点から

前回ブログの「目についたトレンド :6」でも触れたように、今回の TOKYO PACK ではデジタル印刷の存在感が高まっているように感じました。これは、特にラベル印刷の分野において実際に生産に使われるようになっているため、そしてその実績をもとにした提案型の展示が行われていたためだと考えられます。

ラベルのデジタル印刷化が進んでいる背景として、ジョブの小ロット化が進んでいることが挙げられます。例えば、エプソンのインクジェット機 SurePress L-4033A を4台導入している精工ブースでは、生産者(今回の展示では農家の方)の顔が印刷された野菜を入れたビニール袋に貼るラベルが提案されていました。この場合、季節によって販売する野菜の種類が変わりますので、小ロットでの印刷が必要不可欠になります。道の駅が広まるなど流通の多様化に対応して、こうした「生産者の直売」のための小ロット印刷サービスも広がっています。

あるいは、ネット通販が広まっていることから、個人や小規模な会社が輸入されたものをキレイなラベルを貼ってネットで販売したというニーズも増えているそうです。こうしたニーズに対応するための小ロット印刷サービスも立ち上がってきています。

また、精工ブースでは、今年5月に発表された HP社のB2サイズ対応ラベル・パッケージ印刷用ロール機 Indigo 20000 の導入が発表されていました。導入予定は2013年10月で、これはアジア1号機になるそうです。このデジタル印刷機の使い方については会場ではお伺いできませんでしたが、HPによる精工ブースでのプレゼンテーションをみると、One-to-one (パーソナライズ)のニーズに対応したサービス、しかもラベル以外にも軟包装も含めた印刷サービスの展開になるのかもしれません。

ところで、精工ブースでは、エプソンとHPが並んで自社製品をアピールしていました。エプソンは比較的「生産者直売」や「小規模メーカー」向けの小ロット生産を意識した提案、HPはナショナルブランドの One-to-one マーケティングを意識した提案とそれぞれ特徴がありました。これら2社の展示をみているとラベル・パッケージ分野におけるデジタル印刷の可能性の大きさを感じることができました。

また、エプソンはインクジェット機、HPは液体トナー機という共に注目のデジタル印刷方式のデジタル機を紹介していました。精工ブースはこうした観点からも、それぞれの特徴を比較検討したい印刷会社そして印刷物発注者には興味深い展示となっていました。

精工ブース以外でも、タカラ(大阪・大阪市)のデジタルラベルやミマキブースに展示されていた「CASIO ユポラベル対応オンデマンドカラーページプリンタ」(トナー式)を使った商品ラベルのサンプルなど、会場では興味深い展示が目に付きました。ちなみに、ユポラベル対応のCASIOのプリンターですが、価格は598,000円 + 消費税(5年間の保守サポート付き、トナー料金は別途)、ユポラベルの印刷速度はフルカラーで毎分9枚(厚手のもの)〜15枚となっています。昨年6月の販売開始以来、導入先の約半分が印刷会社だそうです。

今回は、ラベル向けデジタル印刷を中心にご紹介しました。次回は 、drupa でも大きな話題になった「紙器パッケージ」の動向について書きたいと思います。お楽しみに (^ ^)




2012年10月5日金曜日

TOKYO PACK 2012 レビュー(1)

10月2日・4日の2日間、「2012 東京国際包装展」(TOKYO PACK 2012)に行ってきました。今年5月にドイツ・デュッセルドルフで開催された drupa 2012 でも、一部で「package drupa」と呼ばれたようにパッケージ市場が大きな注目を集めていました。今回はそうした流れもあって、2日間に渡って情報を収集しました。

会場では、以下のようなトレンドが目につきました:
  1. 店頭での訴求力向上に貢献するラベル・パッケージ
  2. 購入後に効果を発揮するラベル・パッケージ
  3. O2O(Offline to online)の取組み
  4. 小ロットニーズに対応する取組み
  5. 印刷物の高機能化
  6. フレキソ印刷・デジタル印刷の存在感拡大
  7. さらに進化した加飾印刷
  8. カラーマネージメントの進化
  9. ワンストップサービスの提案
  10. 産業用インクジェット + 検査機(注:10月9日追記)
今回の展示会で、マーケティング的に面白い取組みだと感じたのは「2. 購入後に効果を発揮するパッケージ」です。厳しい経済状況で、店頭でのプレゼンテーション能力を高める取組みが進むのは、ある意味想定内です。ただ、店頭でのインパクトが高い商品が、「もう一度買いたい商品」になるとは限りません。

今回、この「もう一度買いたい感」を高める可能性のありそうな提案が、会場でいくつか見られました。例えば、共同紙工(東京・江東)のマルチレイヤー紙ラベル「ヨメルダー」や「Meku Look(メクルック)」は、ラベルの情報量を増やすことで店頭での訴求力を高めると同時に、購入後にそこに書かれているレシピなどを参考に料理やお酒を楽しむことができたりします。

もちろん、3倍・5倍に情報量を増やしたラベルには、レシピ以外にも読み物(連載)やクーポンなど、様々な情報を入れることができます。この内容を工夫することで、消費者の「もう一度買いたい感」を刺激することができそうです。

また、東洋製罐グループの東洋ガラス(東京・品川)が展示していた「内面彫刻」のガラス瓶もマーケティング的に面白いものでした。ガラス瓶の内面に彫刻を施す(表面はツルツルのまま)ことによって、内容物が減っていくとその彫刻した模様が浮かび上がってきます。この彫刻の図柄を工夫することで、「もう一度買いたい感」を高めることが出来ると思います。ただ、残念ながらこの技術はまだ開発中で商品化されていないそうです(写真も撮らせていただけませんでした・・・)。

こうした「もう一度買いたい感」を高める仕掛けは、「店頭での訴求力向上」や「O2O」といった取組みと組み合せて使うことができます。マーケティングサービスプロバイダー(MSP)への転身を図る印刷会社には、こうした仕掛けも「武器」のひとつとして提案していただくと、提案内容がさらに広がり・深みを増すと思います。

今回は、展示会の全体的な印象そしてマーケティング的な視点からの興味深い取組みについてご紹介しました。次回は、「デジタル印刷」の観点からみた TOKYO PACK をご報告いたします。お楽しみに (^ ^)