印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。

2011年5月24日火曜日

東日本大震災の外食産業における影響

5月16日の小売業に続いて、今回は外食産業における東日本大震災の影響を分析する。正会員・賛助会員を合わせて約850社を数える日本フードサービス協会の発表によれば、2011年3月における会員社の売上合計(全店舗)の売上高前年同月比は89.7%であった。

これを業態別にみると、パブレストラン/居酒屋(80.2%)やディナーレストラン(80.5%)などにおける落ち込み幅が大きいことが分かる。ディナーレストランとは、日本フードサービス協会の定義では、「イートイン中心」「食事中心」「客単価は高い」業態のことである。また、パブレストラン/居酒屋の客単価は「やや高い」となっている。今回の震災では、客単価が高いあるいはやや高い業態への影響が大きいことが明らかになった。

5月16日のブログで分析したように、小売業においてもデパートや自動車小売業、家電製品など機械器具小売業といった、比較的高額な商品・耐久消費材を扱う業態で大きな影響が表れていた。この結果から、震災後に「不要不急」とされたものは、比較的高額な商品・サービスであることが分かった。

では、この分析結果は印刷会社にとってどの様な意味を持つのか。私には、「印刷会社にとって、今が比較的高額な商品やサービスを提供する店舗との絆を深めるチャンスであること」を示しているように思われる。

比較的高額な商品・サービスを提供する店舗は、顧客リストを保有しているところも多い。印刷会社は、こうしたリストを活用して既存顧客に対してDMを送付して来店を促す提案をすることが可能である。この際、消費者の欲望を煽るのではなく、紙メディアの特徴を活かして手触りの良い用紙や安心感を伝える言葉を使い、消費者と店舗の「絆」を再確認し、更に深めるようなクリエイティブにすることが重要であろう。

クリエイティブも含めた消費者(印刷会社から見れば、顧客の顧客)との紙メディアを使ったコミュニケーションのノウハウは、「絆」が求められる今こそ活用が求められている。こうしたノウハウは、震災前に大きな問題であった「過剰な価格競争」を回避することに役立つであろう。今回の震災は、印刷会社が顧客(印刷物発注者)との関係を見直し、新たな関係を構築する絶好のチャンスだと考えられる。

2011年5月18日水曜日

自炊代行サービスは本当に著作権法違反か

皆さんは、『自炊代行サービス』をご存知でしょうか?ここでいう『自炊』とは、一般の個人が保有する紙の書籍を、自ら断裁機で切断しスキャナで取り込むことによりデータ化する事です。データ化した書籍は、電子ブックリーダーやパソコンなどで読むことができます。また、『自炊代行サービス』とは、外部業者が有料で断裁やスキャンなど自炊に伴う作業を請け負うサービスになります。


私が所属する10→30戦略室では、メンバー間で話題のトピックについて議論する『座談会』という場があるのですが、今回は弁理士の前川真季氏を交えて自炊代行サービスについて議論しました。この内容が、10→30戦略室のサイトに掲載されましたので、是非お読み下さい。


「そもそも、著作権法で守られるもの/守られないものとは?」「日本の著作権の特徴は?」といった基本的なことも含め丁寧に説明されていて、法律用語に疎い私でも楽しめる内容となっています。著作権は印刷業界でも大事なトピックでもありますので、『自炊』についての情報収集と併せて、この機会に理解を深めていただければと思います。

2011年5月16日月曜日

東日本大震災の小売業における影響


経済産業省が4月27日に発表した「商業販売統計速報 平成23年3月分」によれば、2011年3月における小売業全体の販売額は、前年同月比で▲8.5%であった。スーパーと百貨店の売上高前年同月比増減率は、スーパーは▲1.5%と比較的落ち込みは小さかったが、百貨店は▲15.4%と大きく減少した。

小売業の業種別の動向をみると、燃料小売業は5.1%と伸びており、また飲食料品小売業は0.1%と微減であった。震災の影響で燃料や水、食料品など生活必需品の買い占めが起こったと報道されたが、これはデータでも示される形となった。

その一方、織物・衣服・身の回り品小売業は8.5%、家電を含む機械器具小売業 17.3%、また自動車小売業 32.8%と大幅に減少した。「不要不急」とされて買い控えられたものは、服やアクセサリー、家電、自動車など多岐に渡ることがデータから示された。